⑫限界がある保険での治療

投稿日:2017年1月22日

カテゴリ:埼東よみうりコラム記事

日本の歯科保険制度はその昔、突然の虫歯の痛みや歯が無い人が最低限噛める為に作られた制度らしく、予防や歯を長く保つという視点は少ないようです。なぜなら保険制度でみとめられている詰め物は、経年的に劣化する物もあるからです。

一度は治したあなたの口の中の詰め物が、劣化している可能性があるのです。日本の歯科保険医療費は極めて低く設定されており、他国の1/5~1/20程度しかありません(そのうちの3割が皆さんの支払う金額です)。

国の決めた保険制度の中で一生懸命治しても、同じ歯をもう一度詰め直したり、被せ直したりを繰り返しながら、結局は年とともに歯を失ってしまいます。歯を残すということが、80歳で歯を20本以上残す運動があるぐらい難しい事となっている国なのです。

また、80歳で歯が20本以上ある方の特長が、歯科治療をあまりされていないというのも皮肉なものです。歯は削った瞬間から寿命が短くなります。もちろん予防して削らないようにもっていくのが一番良い事は毎回書いている通りです。

しかし、明らかに虫歯になってしまった場合は処置をしなければなりません。できれば長く機能し、身体に優しい材質の物での治療が理想ですが、保険で治すには制約があります。歯科医師は保険のレベルに甘んじる事無く休み返上で治療をしておりますが、それにも限界があり、特に歯型を取り作成する詰め物や被せ物はその差が顕著です。院内に技工士がいない場合は外注して作らなければなりません。

中には経費削減により海外で安く作る所もあります。健康を左右する歯の治療を、一番安い最低限の治療にしても良いのでしょうか?もちろん高ければ良いという事ではありません。

歯が痛くないときから予防で通い、削らないようにするのが一番ですが、なってしまった時は、一番良い治療を選べるように、歯に対する見方を変えていきませんか?