⑬保険診療と自由診療

投稿日:2017年1月22日

カテゴリ:埼東よみうりコラム記事

前回、外国製の外注歯科技工物の話に触れましたが、同時期に外国製の歯科技工物から日本で認められていない金属が検出されたというテレビ報道がありビックリしています。

日本の保険診療では国の決めた材料の中で行わねばなりませんが、外国製の技工物から検出されたものは、日本で認められていないどころかWHOでは発癌物質となっています。また、恐らくほんの一部の事で心配する必要はないとは思いますが、日本の技工士が海外に発注していた事もテレビに取り上げられたのには驚きました。

ところで、技工士に代表される様に歯科では被せる冠等(審美歯科)により保険診療と自費診療があります。基本的には、見た目や丈夫さや快適さを考えなければ全て保険診療で賄えます。通常保険診療では負担額が3割なので、1万円の治療で約3300円を払う事になりますが、自由診療では10割負担なので1万円となり、治療費が高額になります。しかし、保険の制約を受けないので質の良い材料を使えたり、最先端の治療を提供する事ができます。

矯正治療やセラミック治療やレーザー治療やインプラント治療等、自由診療の治療費は歯科医がそれぞれ適正価格を決めています。ただ、高額医療費は条件をクリアすれば医療控除が受けられ、治療費の一部が戻ってきます。昔は歯を削り、歯型を取ってから脅迫のように「保険と自費を選べますが何を被せますか?」と聞かれたそうです。

しかし、型を取った後作るのは技工士で、自費診療にして高級な材質で作るのも技工士なのに値段が上がるのはなぜでしょう。もし型を取った後、技工士任せで材料だけ変えたものを自由診療で高額にするなら、ただの材料屋となってしまう気がします。

被せる材料により削り方も削る量もその後の保証も歯科医が責任持つから保険より高額なはずです。治療を受ける皆さんも技術は元より、制作物や材料まで厳選する意識を持って頂ければと思います。